Afterword


御挨拶

この度は「愛されぬ花に祝福を」をご拝読ありがとうございます。
最後まで読んでいただき、更にこちらの後書きに目を通して頂き、とても嬉しく思います。

私の書く他の作品をお読みになった方はお分かりかと思いますが、
この「愛されぬ花に祝福を(以下愛花)」は彼が主人公のお話です。
劇場を書いた後から何となく、フワフワと考えていたお話を、
ようやくこうして形にすることが出来ました。

本当はもっと短くまとまるかな〜と思っていたのですが、
私自身フリーダムなラベン少年に振り回されて、
気付いた時には12話でした。

書いているうちに最初の明るさは何処へやら、ずっしり重たくなってきて、
どうしてラベン少年は笑っていられるのか不思議でなりません。
でも笑う姿しか浮かばないのが私自身切ない所です。

御挨拶はこの位にして、ライナーノーツ的なお話に入りたいと思います。


各話解説

プロローグ:祝されぬ生に乾杯
ラベン少年の生まれた時です。
「誰からも祝福されること無く生まれたラベン少年へ、形ばかりの乾杯を贈ろう」
という想いでこのタイトルを付けました。
ラベン少年を産んで間もなく、シオンは亡くなります。
元々余命も短かったけれど、シオンは自滅の道を選び、静かに幕を下ろしたのです。

第一話:摘み取られぬように
生まれたてのラベン少年とその教育係モネの対面になります。
「何も分からないうちに摘み取られてしまわれないように」
と、そのままのタイトルです。
摘み取られないように、モネがラベン少年を教育し始めます。

第二話:花やぐ
最も大事な人物との出会いです。
ラベン少年がロゼに一目惚れをします。
「恋をすると世界は華やかになる」
そういう意味を込めて、そして人物たちがお花の名前なのでお花と絡めて、
このタイトルになりました。

第三話:贈られた意
「贈られた意」と書いて「おくられたこころ」と読みます。
魔法使いの名前についてのお話。
この世界ではお花の名前が言葉になって、花言葉が意味を表しています。
「師や親から贈られた意味」
をそのままタイトルに。
「意」をココロと読ませたのは、意味だけでなく心もこもっているよという表れでした。

第四話:愚者の記憶
話は昔へトリップして、コロンバイン達のお話です。
「コロンバインの見た記憶」
なので、そのままのタイトル。そして、一人称視点で話が進みます。
本編でのコロンバインの登場は4話と5話だけなので、そこでどんな人物なのかを描きました。
『前世持ち』のくだりで「おや?」と思った方もいると思いますが、性格もどことなくあの子に似ていますね。

第五話:妄想の記憶
4話の続きの流れですが、語り部が変わってカンナ視点になります。
「カンナの見た記憶」
と、4話に続きそのままタイトルを揃えました。
本当は5話もコロンバイン語りで行こうと思ったのですが、6話の導入として、カンナ語りに変えました。
カンナが一番幸せだった時代ですね。

第六話:メロウキネマ
5話の流れを汲み、時間はラベン少年の方に戻ります。
「機は熟した。上映の始まりだ」
5話までを起とするならここからは承、そんな意味を込めてこのタイトルにしました。
あとどうしても劇場と絡めたタイトルが一つ欲しかったのです…。

第七話:浪漫ロマネスク
「誰もが物語の様な夢や理想を持つ、けれどそれは非現実的なこと」
という、ラベン少年とカンナの事を示しています。
前半部分のラベン少年の所までが愛花全体を通して明るかった頃です。
後半カンナとモネのくだりから話は落ちる一方へ向かいます。

第八話:恋は盲目
「誰しも恋をすれば相手に盲目的に成る」
ラベン少年もロゼもカンナも、皆が皆盲目的に恋をしている。
そんな事を表したお話。
タイトルはそのままの意味を、これ以上にピッタリくる言葉は無いように思えます。

第九話:Cry and Anguish
「失った悲しみの叫びと、己の力への苦悩」
そのままのタイトルです。
今迄やりたい放題だったラベン少年が、考えるようになりました。
色々な事があって当たり前ですが、ラベン少年が確実に成長していっていますね。

第十話:覚醒
常識という概念に囚われて、自分の力を無意識に抑制していたラベン少年。
愛するロゼを眼前で失うことで、しがらみから解放され、『なんでも出来る魔法使い』として目覚めます。
「ついになんでも出来る魔法使いとして覚醒する」
なんて、そのままのタイトル。

第十一話:全ての想いは枯れ果てる
此処からは起承転結の「結」の部分に入ります。
覚醒し、覚悟を決めて、何度も魔法を使いますが、一向にコロンバインは蘇りません。
全てが上手くいくはずだったのに、この一つの『できないこと』のせいで、全員の想いは砕けました。
「想いの花は枯れ朽ち果てる」
花の名を持つ魔法使いたちは誰一人幸せに成れず枯れ散ったのです。

第十二話:彼の花は愛されない
「誰も幸せになれないなんて、そんな結末あんまりだ」
そう思ったラベン少年が手を尽くしますが、それも全て失敗に終わってしまいます。
「ただ愛されたかっただけなのに」
空回りの末、少年は誰からも愛されず、独りぼっちになりました。

エピローグ:愛されぬ花に祝福を
エピローグは、あっけない世界の終わりと、劇場への導入部。
語り部が違うので文体は違いますが、内容は劇場の序章と被せています。
愛花の世界が終わっても、少年のお話はこれからも続いていくのでした。


最期に

「どうしてラベンダーは愛されぬ花なのか?」と思われそうなので少しお話を・・・。
これは私が幼少期から良く聞いていた言葉が切っ掛けで、
私の周りに居た人は皆ラベンダーの香りを嫌っていました。
だから私の中で、ラベンダーという花は愛されない花というイメージが強いのです。
勿論、私はラベンダーの香りが大好きで、ゆらゆら揺れるあの青い花も大好きです。

さてはて、というわけで、この度はご拝読いただき、本当にありがとうございました!
いつかまた、ラベン少年が出てくる事もあると思いますが、一先ずこれで、彼のお話はおしまいです。
此処まで読んでいただきありがとうございました!

本当に最後の最後になりますが、ここまで読んでくださった方へ感謝を込めて、おまけページを用意しました。
本編に導入しなかった断片のお話になります。
是非本編をお読みの後…出来れば夢劇場もお読みの後にご覧ください。

エピタフ:愛されぬ花の祝福を

それでは本当にありがとうございました!
ご縁がありましたら、またお会いしましょう!


小さく揺れるその花に、祝福がありますように。

2015/02/12  Arle

thank you for your time


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